木下綜合法律事務所

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解決事例2


離婚・男女問題

夫と3年前に結婚、半年前に子供が生まれました。結婚してすぐに夫からの暴言・暴力が始まりました。数日前にも暴力を振るわれたばかりで、子供を連れて両親の住む実家へ避難してきました。夫と離婚したいのですが、夫からは、「離婚はしない」「子供の親権も絶対に渡さない」と言われています。私は、現在、職に就いておらず、収入もありません。

このような状況で、夫と離婚し、子供の親権者に私がなることはできるのでしょうか。そのほか、私から夫に対し請求できるものにはどんなことがあるのでしょうか。

配偶者から暴言や暴力を受け、別居するに至ったということであり、あなたに婚姻関係を続けていく意思もないということからすると、家庭裁判所に調停を申し立て、離婚を求めれば、夫と離婚できる可能性は高いように思われます。現在、職に就いておらず、収入もないとのことですが、そのことは親権者を定める上で決定的な事情にはならないように思われますので、ご心配には及びません。

あなたが子供の親権者となった場合には、相手方に対しては養育費の請求もできます。そのほかに請求できるものとしては、相手方に相当額の資産(預金、不動産など)がある場合には財産分与を、あなたが婚姻中に夫の扶養に入っていた場合には年金分割を、夫から暴力を振るわれたことについては慰謝料を請求できる可能性があります。

■その後の進行・当職の処理

妻は、夫とは直接やり取りしたくない、裁判手続のこともわからない、とのことで当職への委任を希望されましたので、お受けしました。早期解決のためには裁判手続によるのがよいと判断し、直ちに家庭裁判所に離婚調停を申し立てることにしました。

夫は、第1回調停期日で、離婚をかたくなに拒否し、仮に離婚するにしても子供の親権者には自分を指定するよう求めました。しかし、妻としても、離婚の意思は固く、あくまで離婚と親権を求めました。そうしたところ、第2回調停期日では、夫の態度にやや変化がみられ、離婚には応じてもよいが親権だけは絶対に譲らないとのことでした。夫は、妻は家事育児をちゃんとやらない、規則正しい生活ができておらず、親権者には向いていない、などと主張していました。
このままでは親権について話合いで解決する可能性は低いと考え、早期に家庭裁判所調査官の調査を行っていただくよう求めました。そうしたところ、次の調停期日までの間に、調査官が夫、妻双方と面談し、家庭訪問もされ、しばらくして調査報告書ができあがりました。調査報告書では、現状で妻の子供に対する監護養育の状況に特段の問題はない、という調査官の意見が述べられていました。

そのようなことから、第3回調停期日では、調査官の調査を踏まえ裁判所から夫側に説得をされ、ついには、夫は、妻を親権者とすることに合意しました。そのほか、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料についても話し合いましたが、妻としては、夫が離婚と親権について応じる態度を示したことから、養育費、財産分与、慰謝料の額については柔軟な態度を示し、夫の希望する金額に近い金額での解決に応じることになりました。このようにして第3回調停期日で調停成立となりました。
家庭裁判所に調停を申し立ててから調停が成立するまで、調停期日はほぼ1か月に1回開かれ、約3か月での解決となりました。

借金・債務整理

私は運送会社の会社員で、妻と子との3人暮らしです。数年前から勤務先の業績が低迷し、給料が減らされボーナスもカットされました。そのため、生活費が不足するようになり、銀行のカードローンやクレジットカードのキャッシングを度々利用するようになりました。ところが、今度はそれらの返済に追われ、消費者金融からも借入れをするようになり、気がついたら負債総額は300万円、毎月の返済額も10万円にも達していました。今の給料は手取り月20万円位ですから、借金の返済はとても厳しく、3か月くらい支払えておらず、業者から催促の電話や手紙が来るようになってしまいました。

借金を整理するにはどのような方法があるのでしょうか。自己破産するしかないのでしょうか。借金があることや自己破産したことを勤務先に知られてしまうでしょうか。

借金を整理するための方法としては、任意整理、自己破産、個人再生などがあります。
任意整理は、弁護士があなたに代わって業者と交渉して、支払額や支払回数などを話し合います。業者に元本を減額してもらうことは通常困難ですが、将来利息については免除してもらえる場合が多いです。3~5年程度の支払計画を立てることになるでしょう。
自己破産は、裁判所に破産の申立てをして、裁判所で免責を認められれば、借金を支払う必要がなくなるというものです。借金があるけれども資産も一定程度あるという場合には、資産の種類や価値によっては、手放さなければならない可能性もあります。
個人再生は、自己破産と同様に裁判所に申立てをしますが、借金を全て支払わなくてよくなるものではなく、一部について免除を受けたら残りを3~5年間で支払っていく計画を立てるというものです。

それではどの方法をとるかということについては、ご相談者様と弁護士とでよく話し合って、決めていくことになります。弁護士が勝手に決めることも、強制することもありません。
このケースでは、収入に比べて負債総額がそれなりに高額であり、まずは自己破産が適しているのではないかと考えますが、任意整理も可能であると思われます。個人再生はあまりメリットがないように思います(個人再生をするのであれば、自己破産の方がよいのではないかと思われます)。
弁護士には守秘義務がありますので、借金があることや自己破産をしたことを弁護士が勤務先に教えることはありませんし、あなたから言わなければ知られてしまう可能性は低いと思われます。自己破産や個人再生の場合、そのような手続をとったことが官報に掲載されますが、通常、それで勤務先に知られたという話はあまり聞きません。

■その後の進行・当職の処理

ご相談者様としては、勤務先で今後さらに給料を減らされるおそれやリストラに遭うおそれもあるため、3〜5年程度であっても将来にわたって支払を続けていくことには不安を感じる、とのことでした。他方、自己破産をすることにはさほど抵抗感はない、とのことでもありました。弁護士の意見としても、負債総額は元本のみで300万円位に達しており、これを支払うとなると5年間(60か月)で毎月5万円くらい支払う必要があり、収入からして不可能ではないものの苦しそうに思えました。そこで、話し合った結果、自己破産で進めることになりました。
裁判所に破産の申し立てをしましたが、免責が認められないような事情(ギャンブルなど)もない方で、特に問題なく、無事に免責を認められました。

相続・遺産問題

先日、夫が亡くなりました。夫には銀行に相当額の預金があるのですが、私一人で解約しに行ったところ、相続人全員の実印と印鑑登録証明書が必要とのことで解約も払戻しもできませんでした。また、夫婦で住んでいた自宅土地建物は夫の名義なので、私の名義に変えようと思うのですが、それも私一人ではできないと法務局で言われました。私たち夫婦に子はおらず、夫の両親も既に他界しておりますが、夫の兄弟姉妹は数名おり、長年疎遠で話をしたこともない人たちばかりです。

夫の相続人には、私のほかに誰がなるのでしょうか。夫の預金を解約し、自宅の名義を私に変えることはできますか。夫の親族とはあまり話したくないのですが、直接連絡を取り合わなければなりませんか。

夫に子がおらず、両親も既に他界されているということですので、相続人はあなたと夫の兄弟姉妹となります(夫の兄弟姉妹の中で夫よりも先に亡くなっている方がいる場合で、その方に子がいる場合には、その子も相続人になります)。
したがって、夫の預金を解約して払戻しを受けたり、夫名義の自宅土地建物の名義を変えるためには、あなたのほか、夫の兄弟姉妹などの相続人全員で遺産分割協議をして、夫の遺産を誰が相続するのかを決める必要があります。なお、この場合、あなたの法定相続分は4分の3、夫の兄弟姉妹の法定相続分は兄弟姉妹全体で4分の1と定められていますので、夫の兄弟姉妹から権利を主張される可能性があることには注意が必要です。

弁護士に依頼することで弁護士が窓口となり、相手方との連絡、交渉、遺産分割協議書の作成作業をあなたに代わって行いますので、あなたご自身が夫の兄弟姉妹と直接連絡を取り合う必要はありません。

■その後の進行・当職の処理

夫の相続人が妻と夫の兄弟姉妹であることを確認して、誰が相続人であるかを確定するため、当事務所で必要な戸籍関係の調査(戸籍謄本等の取付け)を全て行いました。そうしたところ、夫は6人兄弟姉妹の末っ子であること、長兄は既に亡くなっていて2人の子がいることが判明しました。
当職から兄弟姉妹の方々へお手紙を差し上げ、事情を説明したところ、特に権利を主張されずに遺産分割協議書の作成に協力していただけた方もいましたが、中には権利を主張すると言って譲られなかった方もいました。その方には、法定相続分に応じた金銭を代償金として支払うことで遺産分割協議書の作成に協力いただくよう要請したところ、それならばよいということで了解をいただけたので、全ての相続人との間で遺産分割協議書を取りまとめることができました。
その後、遺産分割協議書や兄弟姉妹から送っていただいた印鑑登録証明書を用いて、銀行で夫の預金の解約・払戻手続を、法務局で自宅土地建物を妻名義に変更する手続を行い、無事完了しました。

交通事故

交差点で青信号にしたがい横断歩道を横断していたところ、右折してきた車に轢かれる交通事故に遭い、骨折して入院しました。
相手の保険会社から、損害賠償の金額について説明を受けましたが、「休業損害」「逸失利益」など聞き慣れない言葉がたくさん出てきてよくわかりません。金額も相手の保険会社から提示されている金額で妥当なのかどうかもわかりません。妥当な金額というのはいくらになるのでしょうか。
また、相手方の弁護人から謝罪をしたいと電話がかかってきています。相手方は今、刑事裁判になっているそうなのです。ですが、事故発生から長い間何も連絡をせず、刑事裁判になってから連絡してきていることからして、刑を軽くするためではないか、心からの謝罪ではないのではないかと疑ってしまいます。謝罪を断ったらどうなるのでしょうか。

相手方の保険会社から損害賠償額の提示をされたとのことですので、その書面をお持ちいただければ、裁判実務に照らして妥当な金額かどうか検討してアドバイスさせていただくことが可能です。「休業損害」「逸失利益」などの交通事故賠償における専門用語についても詳しく説明させていただきます。
相手方の保険会社から提示された損害賠償額の妥当性について検討させていただいた上で、その金額が不当に低いと判断された場合には、妥当と思われる金額を説明させていただきます。

相手方からの謝罪の申し出については、受けることも受けないこともご相談者様の自由であり、断ったからといって何か不利になるというものではありません。刑事裁判が始まって初めて相手方から謝罪の申し出がきたということで、刑を軽くするためではないか、有利な情状事実にするためではないかとの疑いをお持ちになるのももっともなことです。その意味でも受けるかどうかは慎重に検討された方がよいと思われます。相手方の弁護人と直接話をしたくないとか、事件や加害者に対する思いを刑事裁判で裁判官に伝えたい、という場合には、弁護士に依頼することもでき、その費用は日弁連の被害者援助制度を利用できる場合には(資力要件があります)負担しなくてすむ場合があります。

■その後の進行・当職の処理

相手方の保険会社から提示された損害賠償額の妥当性を検討するため、法律相談に来ていただきご事情を伺ったところ、過去の裁判例等に照らして妥当でない費目があることがわかり、当職が妥当と考える金額を説明させていただきました。
ご相談者様も自動車保険に入っており、弁護士費用特約も付けている、とのことでしたので、この特約を利用して当職が相手方の保険会社との交渉の委任を受けることになりました。弁護士費用特約を利用すれば、ご依頼者様が弁護士費用を負担することはありません。
当職の妥当と考える損害賠償額を相手方の保険会社へ逆に提示したところ、概ね了解され、示談成立となりました。

また、相手方からの謝罪の申し出は受けるつもりはないし、相手方の弁護人と直接話をしたくない、とのことでしたので、日弁連の被害者援助制度を利用して被害者支援に関する件についても委任を受けました。相手方の弁護人に対しては謝罪の申し出を断り、担当検察官に謝罪の申し出を断ったことと断った理由を伝えました。
さらに、刑事裁判で事件や加害者に対する思いを裁判官に伝えたい、とのことでしたので、意見陳述という制度の利用をお勧めしました(文面についてアドバイスしました)。

刑事裁判では、初犯ということもあり、執行猶予付きの判決となりましたが、判決で加害者の事故後の対応が不十分であったことについて言及されており、ご依頼者様も判決に納得される結果となりました。